lulu lalala's blog

確かかなと思った言葉を気ままに。

2020-01-01から1年間の記事一覧

鉄血宰相ビスマルク傳 19 新帝国建設後の対外経綸

一四 統一の大業は平和的経綸の一手段 第五章 新帝国建設後の対外経綸 一 列国の畏敬の焦点となる ニ 不和と現状維持の要 一四 統一の大業は平和的経綸の一手段 ドイツ帝国はかくの如くにしてビスマルクの胸算を追うてついに成り、爾来欧州国際政局の上に要…

鉄血宰相ビスマルク傳 18 普王、ドイツ皇帝の冠を戴く

一一 講和漸くにして成る 十二 普王ドイツ皇帝の冠を戴く 十三 議会における講和報告演説 一一 講和漸くにして成る 戦局はパリの開城とともに大段落を告げた。まず二月二十六日正午を限りとする休戦の約成り、四月二十一日、ビスマルクは仏国全権チェールと…

鉄血宰相ビスマルク傳 17 お話にならず

一〇 作戦上の優劣お話しにならず 外交関係がかくプロシアにとりて有利であったに加え、作戦上の優劣に至りては、普仏両軍の差異はほとんどお話しにならなかった。 仏軍は装備において欠陥だらけで、その堂々たる軍団中には、単に紙上の軍団で実態にないもの…

鉄血宰相ビスマルク傳 16 新聞操作術

八 仏国の宣戦と列国の態度 九 ビ公の新聞操縦術 八 仏国の宣戦と列国の態度 七月十五日、仏国議会にては首相および外相の悲憤慷慨の演説の下に動員に伴う経費支出の要求があり。上院は全会一致、下院は大多数にてこれを可決した。 越えて十九日、仏国はプロ…

鉄血宰相ビスマルク傳 15 エムスの電信

六 惜しむべし進退度合を失す 七 エムスの電信 六 惜しむべし進退度合を失す しかるに惜しむべし、仏国政府には愼思熟慮の外交家に欠けておった。 外交には進退の度合いが切である。進むべきところまで進み、既に目的を達したならば、そこで踏みとどまるとい…

鉄血宰相ビスマルク傳 14 仏国の大抗議

五 仏国の狼狽および大抗議 スペイン側では、レオポルドがいったん辞退したので、ちょっと他の候補者を求むるに困ったが、彼再考の末承諾したということになったので、一八七〇年の六月十六日、改めて再び正式にこれを候補者に推挙し、レオポルドは同月二十…

【小説連載】刑事堀部(33、最終話)~終戦 その6 

あらすじ 疎開者らの出港直前、堀部はサエの一言を機に、事件の真相に気付いた。しかし証拠はなく、彼は、みよ子だけに推理を話す。翌日、銀行の捜査で急きょ彼は呼び戻され、そこで篤志の死に立ち会う。出港した船では、スミレがある光景を思い出した。それ…

【小説連載】刑事堀部(32)~終戦 その5

再び8月13日。 北海道へ向かう連絡船の中、正美は焦った。慌てて船員らに事情を説明し、妙子を医務室へ運んでもらう。 正美は嘘をつき、彼女は濡れた階段で足を滑らせ落ちた、と説明した。船員によると、妙子は気を失ってはいるが、大事には至らなそうで…

鉄血宰相ビスマルク傳 13 スペイン王位継承問題

二 対仏開戦の最好時機 三 ベルギーを餌に英国を怒らしめんとす 四 スペイン王位継承問題 二 対仏開戦の最好時機 このルクセムブルグ問題以来、ナ帝のビルマルクに対する反感は加わり、ドイツを一つ討伐してやろうという気も萌し、密かに伊墺両国を説いて対…

鉄血宰相ビスマルク傳 12 いよいよフランス

第二項 七〇年役の外交運用 一 いよいよフランスの順番 かくの如くにして北ドイツ連邦はプロシアの統御の下に成り、ビスマルクの大業はその一部の成功を告げた。けれども、そはわずかに一部で、全部の目的はいまだ達しない。なぜならば、南ドイツのバーデン…

鉄血宰相ビスマルク傳 11 ナ帝まんまと罠に、対墺講和の苦心

七 刺客に襲わる 八 オーストリアの激怒、開戦、大敗 九 ナ帝まんまと罠にかかる 一〇 対墺講和の苦心 七 刺客に襲わる 程なくビスマルクは、ある日(五月六日)の正午頃、ベルリンのウンテル デン リンデン街を歩して官邸に帰らんとする折、一期狂漢は突如…

【小説連載】刑事堀部(31)~終戦 その4

あらすじ 疎開者らの出港直前、堀部はサエの一言を機に、事件の真相に気付いた。 「どうしてあの子だと?」 港に残ったみよ子は率直に尋ねた。堀部は自分の後頭部をなでた。 「まずはあなたのおかげです」 「私?」 「ええ。殺したり、殺されたり。あなたは…

【小説連載】刑事堀部(30)~終戦 その3

明け方。 谷山が交代で仮眠をとっているころ、堀部は自分の決断に悩んでいた。 彼はついに事件の真相に迫ったのだが、犯人逮捕まではしなかったのである。 その後、篤志の死に立ち合い、彼はこの決断がやはり正しかったと思うようになる。 しかし、まだ気が…

鉄血宰相ビスマルク傳 10 第三国牽制の苦心

五 次はオーストリア 六 第三国牽制の苦心 五 次はオーストリア 次はオーストリアの討伐である。 前にも述べた如くビスマルクの生まれた一八一五年という歳には、欧州外交史上に一時期を冠せる有名なるウイーン会議があった。 この会議の牛耳を執れるオース…

鉄血宰相ビスマルク傳 9 ドイツ帝国建設へ、まずデンマークを討つ

一 天の下せる一大経世家 二 胸中に立てたる大方針 三 まずデンマークを討つ 四 開戦の由来と結果 第四章 ドイツ帝国建設の大業 第一項 大業遂行の順序方法 一 天の下せる一大経世家 十九世紀の後半の欧州歴史の上において、国際政局上の顕著なる一大現象と…

【小説連載】刑事堀部(29)~終戦 その2

サエに気付いたスミレは彼女に近寄り、 「ごめんなさい」彼女は深く頭を下げた。 「ごめんなさい、ごめんなさい」 何度も謝罪を繰り返す彼女の目には、透き通った涙も浮かんでいた。サエはスミレの姿を真剣に見つめ、隣のみよ子が冷静に見守った。 「先輩、…

鉄血宰相ビスマルク傳 8 宰相となる

四 ベルリンからの急電 五 宰相となる 四 ベルリンからの急電 彼はパリに在任すること三カ月。折しも同一八六二年の九月、彼はプロシア国内の政界の波瀾を冷眼視しつつスペインとの国境に近きビアリッツの海浜に悠々自適し、大西洋の清澄な空気を満喫して同…

鉄血宰相ビスマルク傳 7 露~パリに転任

第三章 遣外使臣から宰相へ 一 露都に出使す 二 入閣の叡旨を辞退す 三 パリに転任 第三章 遣外使臣から宰相へ 一 露都に出使す ビスマルクはフランクフルトに在任するの間において、宮廷より時々国務上の諮詢に接し、ベルリンとの間を往復すること何十回な…

【小説連載】刑事堀部(28)~終戦 その1

あらすじ 則子殺害の捜査は振り出しに戻った堀部。北海道への緊急疎開も始まり、彼は疎開者の誘導・警備のため捜査断念を余儀なくされる。このころ、町では疎開者が集まる銀行で異変が。様子を確かめようと、銀行に潜入した篤志。そこでは、客と行員らがソ連…

鉄血宰相ビスマルク傳 6 墺太利の関税同盟加入の希望を排斥す

五 墺太利の関税同盟加入の希望を排斥す 六 パリに遊びナ帝と意見交換 五 墺太利の関税同盟加入の希望を排斥す ドイツ関税同盟なるものはもと一八二八年にプロシアとヘッセ公国との間に協定せられたのを嚆矢とし、一八三四年に他の連邦若干これに加わり、漸…

【小説連載】刑事堀部(27)~りぃ その6

つまり差し違えてでも殺してやる、ということである。 飛び掛かり、ポケットにしまったヘアピンで刺し殺す考えだ。 うまくいけば銃を奪って殺してもいい。 篤志にとっては、ごく単純で完璧な計画だった。周りの他人には、まったく無謀なそれだった。 篤志は…

鉄血宰相ビスマルク傳 5 墺太利の尊大を挫く

四 墺太利の尊大を挫く 当時墺太利(オーストリア)は、ドイツ連邦中にありてプロシアに勝るも劣らざる有力の地位を占め、また隠然他連邦を圧しておのれ独り権勢を欲しいままにせんとするのがいがあった。 連邦参議会においても、墺太利はその発言することに…

鉄血宰相ビスマルク傳 4 神権政治論で名を政界に知らる

一一 良配偶を得た 第二章 国政に参与 一 地方議会連合会議から振り出し 二 神権政治論で名を政界に知らる 三 連邦衆議会にプロシアを代表 一一 良配偶を得た 丁度その頃のこと、彼はある日友人の家で一佳人をみそめた。格別美人というのではなく、顔は薄黒…

鉄血宰相ビスマルク傳 3 外遊から帰りドイツが田舎臭く見ゆ

七 外交官を志して成らず 八 司法官としてすこぶる不首尾 九 兵役を了へ田園に帰る 一〇 外遊から帰りドイツが田舎臭く見ゆ 七 外交官を志して成らず 彼は一八三五年、齢二十にしてベルリン大学を出づるや、腕力得意なるも服従とか規律とかをその頃はなはだ…

【小説連載】刑事堀部(26)~りぃ その5

あらすじ 則子殺害の捜査は振り出しに戻った堀部。北海道への緊急疎開も始まり、彼は疎開者の誘導・警備のため捜査断念を余儀なくされる。このころ、町では疎開者が集まる銀行で異変が。様子を確かめようと、銀行に潜入した篤志。そこでは、客と行員らがソ連…

鉄血宰相ビスマルク傳 2 制御し難き放縦の一書生

三 幼児の教育 四 乱暴大学生の一領袖 五 相親しき学友 六 制御し難き放縦の一書生 三 幼児の教育 オット ビスマルクは兄妹姉妹合わせて六人で、おのれは第四男である。 父は彼が二歳のとき、ポメラニア州のクニホフ村に移りて質素に暮らしたので、彼も幼少…

鉄血宰相ビスマルク傳 1 時勢は一世の偉人を産む

正義人道なり国際協調なりが外交の基調と謳はるるに至った今日、今さらビスマルクの傳でもあるまい、と人或いは貶すかも知れない。 何故にしかく貶すかと試みに反問すれば、ビスマルクは権謀術数ををこれ事とせる旧式外交の代表であるが故と多分答ふるであろ…

【小説連載】刑事堀部(25)~りぃ その4

軍服ではなかったが、顔付き、肌の色、体格、そして時折口にする言語から、間違いなくソ連人であった。 窓口前の広間に、人々は集められていた。 ……こりゃあ、痛い目に遭うどころじゃないぜ。 壁の裏に身を潜め、篤志は事の重大さを知った。 ……今度は、あい…

【メモ】結婚式での挨拶の練習

恨みや憎しみに囚われる必要はないが、忘れたり水に流したりする必要もないと思っています。 過去よりたくましい自分になるには、過去を記憶の額縁に入れ、覚えておくことも肝要です。そうでなければ、また似たような経験を、今度は高い確率で手繰り寄せる羽…

【小説連載】刑事堀部(24)~りぃ その3

楡井は気晴らしのため、篤志を外へ連れ出していた。気晴らしといっても、町に大した娯楽などないのだが、あの狭くてねっとりした部屋に男2人でいるよりましである。道行く疎開者たちを見て、楡井が聞いた。 「サエとかいう娘の見送りはしないのか?」 「す…