lulu lalala's blog

確かかなと思った言葉を気ままに。

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

鉄血宰相ビスマルク傳 1 時勢は一世の偉人を産む

正義人道なり国際協調なりが外交の基調と謳はるるに至った今日、今さらビスマルクの傳でもあるまい、と人或いは貶すかも知れない。 何故にしかく貶すかと試みに反問すれば、ビスマルクは権謀術数ををこれ事とせる旧式外交の代表であるが故と多分答ふるであろ…

【小説連載】刑事堀部(25)~りぃ その4

軍服ではなかったが、顔付き、肌の色、体格、そして時折口にする言語から、間違いなくソ連人であった。 窓口前の広間に、人々は集められていた。 ……こりゃあ、痛い目に遭うどころじゃないぜ。 壁の裏に身を潜め、篤志は事の重大さを知った。 ……今度は、あい…

【メモ】結婚式での挨拶の練習

恨みや憎しみに囚われる必要はないが、忘れたり水に流したりする必要もないと思っています。 過去よりたくましい自分になるには、過去を記憶の額縁に入れ、覚えておくことも肝要です。そうでなければ、また似たような経験を、今度は高い確率で手繰り寄せる羽…

【小説連載】刑事堀部(24)~りぃ その3

楡井は気晴らしのため、篤志を外へ連れ出していた。気晴らしといっても、町に大した娯楽などないのだが、あの狭くてねっとりした部屋に男2人でいるよりましである。道行く疎開者たちを見て、楡井が聞いた。 「サエとかいう娘の見送りはしないのか?」 「す…

【小説連載】刑事堀部(23)~りぃ その2

……女の話でもするか。 ありきたりに、今度はそう考える。けれど、女のことでは、ひわいでいやらしい思い出話しか彼にはない。彼にとっては、また味わいたい甘美な思い出ではあったが、ここで披歴することもないだろう。 ……こいつには知られてることも多いし…

【小説連載】刑事堀部(22)~りぃ その1

あらすじ 暴動におびえた仲間の達吉は自白し、則子、源造らとの計画が明るみになる。彼らは対米敗戦とソ連侵攻を見据え、ソ連と取引を画策していた。逮捕された真壁は、殺害したのは則子ではなく、もう一人の仲間・高太郎だとも自供。迷いがあった高太郎は邪…

【恐怖体験】~で無間の悪霊に襲われる。

夕べのこと……。 食事を終え、台所で洗い物をしていたときだ。……ふぅ。身の毛がよだつとは、まさにあの瞬間。 何とはなしに玄関へ目をやったら……。 え? そこに「見知らぬ子ども」が立っていた。 鮮明に覚えてる。身長は120㎝くらい、黒い髪に、青白い肌。…

【小説連載】刑事堀部(21)~先手 その5

あらすじ 則子の死で、ある計画が頓挫した源造ら。源造は、その責任を則子の愛人だった真壁に押し付けた。堪えかねた真壁は、源造失脚を狙い、「売国奴」の醜聞を流布。触発された島民らは、源造襲撃に及ぼうとするも、堀部の機転で、源造たち一家は警察が保…

【小説連載】刑事堀部(20)~先手 その4

翌朝。8月12日。 この日、二つの大きな話題が町を駆け巡った。一つは新聞報道。その見出しは、 『本土に緊急疎開へ』 記事によると、 『本日付で樺太庁長官が、13歳以下の男女と14歳以上の婦女子など約16万人を疎開対象とする通達を各市町村に出す…

エッセイ―この世で最も信頼していいもの、若き日の予感

他人の不幸は蜜の味、と誰々がほくそ笑む。けれど、他人の不幸から甘みしか感じられない味覚の持ち主が、一人前であるはずもない。 今、自分にとって、この世はこんな半人前だらけ。自分が一人前と思っていた人たちは、みんな綺麗に天に召された。 故人を責…

エッセイ―世界に自分を知ってもらうより、世界を知るほうがラク。

ふと思う。 大昔から伝えられる神様とか、妖怪とかいう存在は、物事の道理を庶民に分かりやすく伝えるための当時の弁法だったのではないだろうか。 今でいう、論理的にとか、客観的にとか、科学的にとか、統計的にとか、そんな教育・教授のための手段の一種…

エッセイ―我ら、戦中派を知る最後の戦後世代

~西部邁と、氏亡き後の市井の輩に~ 登場人物 フジワラ ユズル 防衛医大生 ダイタ タカシ 従兄 ダイタ カヨコ その妻 ソクラテス ダイタ家の飼い猫 ワーニャ 旅行中のロシア人 ソーニャ その姪 // ◇◇◇◇ 「ああ、ようやく見つけた、先生。朝っぱらから方々走…

ある反省

ある反省についての備忘録 一つ、 二つ、 三つ、 四つ、 五つ、 一つ、 人の悪口を陰で言ってはならない。言うなら目の前で、その憎き相手が最も反論に窮する論理を言い放つことができた後の締め括りとして使用するのがよろしい。 二つ、 「あの人は変わって…

【小説連載】刑事堀部(19)~先手 その3

あらすじ 則子の死で、ある計画が頓挫した源造ら。彼は、その責任を則子の愛人だった真壁に押し付けた。 「酪農に興味があるのよ」 「はあ、知りませんでした」 どうにも妙子が不思議がってくるので、スミレは理由を急ごしらえする。 「島の産業を知っておく…

【小説連載】刑事堀部(18)~先手 その2

「そうだよな。サエは、夜中に密会する生徒と付き合うような不良じゃない」 「まあ。私のこと、よく分かるんですね」 「分かるさ。俺は、君のことなら何でも分かる」 2人は見つめ合った。 「……サエ」 「篤志さん」 篤志がサエの手を握った。 「サエにはいつ…

【小説連載】刑事堀部(17)~先手 その1

あらすじ 疑惑の目を炭鉱業の源造らに向けた堀部だったが、そのころ町で騒ぎが勃発する。ある朝鮮人が、ソ連側のスパイと疑われ、島民らに襲われたのだ。見かねた青年・篤志が、どうにか朝鮮人を助け出し、堀部の家に一時かくまってもらう。そこを、かぎつけ…

【小説連載】刑事堀部(16)~翻弄 その5

あらすじ 疑惑の目を炭鉱業の源造らに向けた堀部だったが、そのころ町で騒ぎが勃発する。ある朝鮮人が、ソ連側のスパイと疑われ、島民らに襲われたのだ。見かねた青年・篤志が、どうにか朝鮮人を助け出し、堀部の家に一時かくまってもらう。そこを、かぎつけ…

埼玉県警○○警察署まで免許更新に行ったら外の猛暑に晒されグッタリさせられた。

今日、8月11日。運転免許の更新手続きでえらい目にあった。 「密を避ける」 この理由で、この日の猛暑の中、手続きの順番がくるまで警察署の外で待たされ続けました。 いやいや・・・。 順番待ちには高齢者も結構いた。密(みつ)になる前に、誰かが棺(ひ…

【小説連載】刑事堀部(15)~翻弄 その4

あらすじ 対米戦争末期の1945年8月、南樺太に勤務する警察官の堀部は、ある日、火事の焼け跡から出た死体の捜査に出る。死体の状況から殺人と判断する堀部。同じころ、島では国境を接するソ連が対日開戦を宣言する。堀部は聞き込みした女学校で、生徒の…

【小説連載】刑事堀部(14)~翻弄 その3

楡井は可能な限りの小声で、「まさかお前、俺をしょっぴくつもりで……」 「馬鹿」 「何です?」 「ごめんなさい。こっちのことです」 谷山は2人の顔をじろりとのぞいた。 「堀部なら、朝から出とる 「例の事件の捜査で?」 「……そうだが」 谷山は篤志の左腕…

【小説連載】刑事堀部(13)~翻弄 その2

「それにしても谷山、あとで正しい狐の煮方を教えてやろう」 そうして小野田家に着いた堀部。玄関を叩くと、出てきたのは昨日の女学生、妙子だった。 「あら」 「おはようございます。そうか、小野田妙子さん。こちらがご自宅でしたか」 「はい。昨日はどう…

【小説連載】刑事堀部(12)~翻弄 その1

あらすじ 対米戦争末期の1945年8月、南樺太に勤務する警察官の堀部は、ある日、火事の焼け跡から出た死体の捜査に出る。死体の状況から殺人と判断する堀部。同じころ、島では国境を接するソ連が対日開戦を宣言する。堀部は聞き込みした女学校で、生徒の…