lulu lalala's blog

確かかなと思った言葉を気ままに。

憲法

【連載】「自衛権」と「自衛義務」(7) 終わり~それぞれの真骨頂、選ぶべきは・・・糞面白くもないほうだ

私が指摘する意味での保守派の拡大は、相当前から絶望的であろう。 チェーホフ風にいえば、ここまでの話などは利口な人にはとうに知れたこと、そうでない人には糞面白くもないものだ。 Станислав РуденкоによるPixabayからの画像 糞面白くもないと思う層が圧…

【連載】「自衛権」と「自衛義務」(6)~玉砕してでも守りたいもの、生きるより死ぬ理由が勝れば死のう

自衛を権利的に主張するとして、そこには、命や人権を超えた生き方の尊さを望む本性が潜んでいる可能性については既に触れた。 にもかかわらず、本性に無自覚なのがほとんどの左派にみられる特徴だが、何故彼らは無自覚なのだろうか。 まず思考の仕分けが下…

【連載】「自衛権」と「自衛義務」(5)~右派・左派は仮称にすぎない、西部邁氏と佐高信氏のタッグにみた認識の可能性

自らの心根をつぶさに分析し把握するのは難しいものだ。 考えに考えたあげく、最終的にはセンチメンタリズムが結論を下してしまうケースも少なくない。 それが分かっている者は「これでいいのだ」などと漫画調で簡単に決めつけられず、思考の反覆横飛びはや…

【連載】「自衛権」と「自衛義務」(4)~何より命が大事! その主張の裏に潜んだ「命の格の選別」という本性

自衛とは、単に生存を保持するための計画や行動ではない。 目に見える命や財産だけでなく、その国が積み上げた歴史や良習、言論などの保持なくして自衛を成し遂げたとはいえない。 本題を先にいうと、人とは常に自衛的な存在であり、守ることで生きている。 …

【連載】「自衛権」と「自衛義務」(3)~消えてしまった文化、滅びの予感を妨げるチャチな死生観が自衛の概念まで狭める

人の心理は複雑だ。 その複雑さから目を背け、安易な結論を語ったり信じたりする態度は忌み嫌われるべきだと思う。 自衛の件に話を戻せば、こうすれば守れる、守ってもらえるなどと期待を抱いてはいけない。 何をなしても、いずれ滅びるだろうと予感しつつ、…

【連載】「自衛権」と「自衛義務」(2)~JapがJap語で語る綺麗ごとはJapにしか通用しない

変化しなければ生きていけないのに、人が現状維持の選択を続けるのはなぜか。現状維持を諦めるまでに時間を要するのはどうしてか。 この謎を解くには、まず、人が物質的な喜びや満足だけで生きていない事実を認める必要がある。 そんなの当たり前とお思いだ…

【連載】「自衛権」と「自衛義務」(1)~予期せぬ事態で被害者面をする平均的日本人、何のために知が必要なのかわきまえない知識欲

自民党は憲法に「自衛隊」を明記したいらしい。 いつまでも自衛隊を違憲と言い張る勢力に対抗するには間違った手段ではなく、誤解の余地のない固有名詞の明記は、言葉の認識力に乏しい日本人のためにも不可欠な措置といえる。 自分たちの身は自分たちで守る…

「戦争の放棄」と「戦争行為の放棄」(7)終~全体主義の継承者・日本人

1話<2話<3話<4話<5話<6話<『戦争の放棄と戦争行為の放棄』7話(終) Stefan KellerによるPixabayからの画像 「生命礼賛」と「戦争の放棄」は地下茎でがっしり結び付いた価値観だと思う。 戦争にまつわるあらゆる状態を放棄する「戦争の放棄」とは、いわ…

「戦争の放棄」と「戦争行為の放棄」(6)~際どい言葉の積み重ねしかない

1話<2話<3話<4話<5話<『戦争の放棄と戦争行為の放棄』6話>7話(終) 普段戦争に触れる機会のない国民は、戦争を特別な異常事態として捉えがちだ。 実生活での異常と外交での異常を混同すると、認識は一層後れをとる。 家庭生活の教訓を頼りに外交を考察…

「戦争の放棄」と「戦争行為の放棄」(5)~たちが悪い「ペンは剣よりも強し」の弊害、外交でさえ戦争行為の一つ

1話<2話<3話<4話<『戦争の放棄と戦争行為の放棄』5話>6話>7話(終) 秩序の転換は、よほどの惨劇でもなければ今日明日を境に突然起こったりはしない。 じわじわと蛇の如く忍び寄り、ようやく目視できたときには既に領域への侵入を許している。 侵入まで…

「戦争の放棄」と「戦争行為の放棄」(4)~気付いたときは手遅れ、見過ごされた局面管理

1話<2話<3話<『戦争の放棄と戦争行為の放棄』4話>5話>6話>7話(終) 誤訳の条文をそのまま解したら、間違いなく軍事的に無防備な国にならざるを得ない末路を回避できたのは、「これではさすがにまずい」との常識が働き、解釈によって九条の弊害を除去し…

「戦争の放棄」と「戦争行為の放棄」(3)~悪質性すら感じる誤訳、その誤訳に誰も気付かない現実

1話<2話<『戦争の放棄と戦争行為の放棄』3話>4話>5話>6話>7話(終) 外国語を完璧に日本語へ翻訳するのは本来かなり困難な作業なのだろう。 近付けはしても一致はしない。 この点を忘れると国際交流は思いがけぬ悲劇を招く。 それが憲法の制定過程で起…

「戦争の放棄」と「戦争行為の放棄」(2)~もはや敗戦のすゝめ、存在しない国際感覚を身に付ける奇妙な物語

1話<『戦争の放棄と戦争行為の放棄』2話>3話>4話>5話>6話>7話(終) 英文を確認してみよう。 まず、「War as a sovereign right of nation is abolished.」の部分だが、直訳すると、「国(nation)の最高の権利(sovereign right)としての戦争行為(wa…

「戦争の放棄」と「戦争行為の放棄」(1)~そして、知性の退化は始まった

『戦争の放棄と戦争行為の放棄』1話>2話>3話>4話>5話>6話>7話(終) Renunciation of War 上記は現憲法の第二章「戦争の放棄」の英文であり、GHQの草案に書かれている。現憲法はGHQ草案を英訳・修正したものであるから、英文のほうが原文といえよ…

憲法に対するそもそもの誤解(10)終~憲法が国体をつくるのではなく、築き上げる国体が憲法を栄えさせる

1話<2話<3話<4話<5話<6話<7話<8話<9話<『憲法に対するそもそもの誤解』10話(終) 考えてもみてほしい。 明治憲法発布より28年も前の1861年、アメリカ大陸では南北戦争が起き、北軍が勝利。ヨーロッパでは1871年に鉄血宰相ビスマルク率いる…

憲法に対するそもそもの誤解(9)~歴史はより劣化して繰り返す

1話<2話<3話<4話<5話<6話<7話<8話<『憲法に対するそもそもの誤解』9話>10話(終) 私には、憲法の変化を拒む人たちが一体何を怖がっているのか分からない。 彼らの心根を想像で白状してみよう。 「自由、自由と言いながら、私たちは規制されていない…

憲法に対するそもそもの誤解(8)~憲法は理念型ではなく「手続き法的」であるべき

1話<2話<3話<4話<5話<6話<7話<『憲法に対するそもそもの誤解』8話>9話>10話(終) AIはいざ知らず、人の思考で欠かせないのは批判的な見方である。 批判精神を強調すると、えてして批判が目的になりがちでもあるが、意見を単純に受け入れる前に、一…

憲法に対するそもそもの誤解(7)~言論、それは生身のディープラーニング

1話<2話<3話<4話<5話<6話<『憲法に対するそもそもの誤解』7話>8話>9話>10話(終) 日本国憲法に併せ、大日本帝国憲法(明治憲法)まで目を通した人はどれだけいるだろう。 1889年2月11日に発布された明治憲法の内容は、第一章「天皇」、第二章…

憲法に対するそもそもの誤解(6)~積み上げてしまった自業自得、せめて救いなどないと知る心意気がほしい

1話<2話<3話<4話<5話<『憲法に対するそもそもの誤解』6話>7話>8話>9話>10話(終) 言葉の魔力については、「言葉はまやかし」と言い換えてもいい。 言葉がベールになり本当の力を隠しているのではないか。つまり、その言葉の力を支えているのは本当は…

憲法に対するそもそもの誤解(5)~崇高理想の例外「アメリカ」、羊頭狗肉の性を知れ 

1話<2話<3話<4話<『憲法に対するそもそもの誤解』5話>6話>7話>8話>9話>10話(終) 日本国憲法前文の続き。 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則…

憲法に対するそもそもの誤解(4)~核武装論であがいたっていい

1話<2話<3話<『憲法に対するそもそもの誤解』4話>5話>6話>7話>8話>9話>10話(終) 「北は核を完全に廃棄すべし、核廃棄の確約がなければ経済制裁は解除できない」 以上の論調が日本では趨勢を決める中、北の立場を考えれば苦労して一度持った核をそう…

憲法に対するそもそもの誤解(3)~「心の平和」を真に受けたら外交の駆け引きはできない

1話 <2話<『憲法に対するそもそもの誤解』3話>4話>5話>6話>7話>8話>9話>10話(終) 少なくとも、欧米人が現実的に考える平和像は日本人とはまったく異なると確信する。 特にヨーロッパを巡っては、隣国と長年幾度も争ってきた経緯と経験があるのを洞…

憲法に対するそもそもの誤解(2)~解き放たれた凡庸、「人類普遍の原理」を信じてしまう日本人

1話 <『憲法に対するそもそもの誤解』2話>3話>4話>5話>6話>7話>8話>9話>10話(終) 憲法前文の続き。 そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを…

憲法に対するそもそもの誤解(1)~隠れた失敗

『憲法に対するそもそもの誤解』1話>2話>3話>4話>5話>6話>7話>8話>9話>10話(終) 義務教育の過程で日本国憲法の前文を暗記・暗唱させられた経験がありはしないだろうか。 一度でも暗唱したのであれば、その内容に違和感を覚えた人も少なくないと推察…

憲法を二つ立てる(11)終~自虐史観が妨げる慎ましい若い世代の勃興

1話<2話<3話<4話<5話<6話<7話<8話<9話<10話<<『憲法を二つ立てる』11話(終) 国民の気分は移ろいやすいから信頼できないし、信頼したくない本心すら抱えても無理からぬことではある。 だが、デモクラシーとは元々そういうものだ。 「Democracy」を語…

憲法を二つ立てる(10)~根深い侮辱、法解釈の実績など本当は信じていない人々

1話<2話<3話<4話<5話<6話<7話<8話<9話<<『憲法を二つ立てる』10話>>11話(終) 二つの憲法の優劣について論考を深めよう。 法解釈の基準は結局、この国の法の支配の実績をどう捉えるかにかかっている。 現憲法の前文の通り、「その権威は国民に由来し…

憲法を二つ立てる(9)~実は護憲派にこそ潜んでいる「法」や「知性」の軽視

1話<2話<3話<4話<5話<6話<7話<8話<<『憲法を二つ立てる』9話>>10話>11話(終) 国内の護憲派にしろ改憲派にしろ、憲法の明文化ありきで議論を進めるのは現憲法が明文であるからで、現状追認の延長に過ぎない。 しかも実は、憲法は常に明文でもあるの…

憲法を二つ立てる(8)~万能ではない市民感覚

1話<2話<3話<4話<5話<6話<7話<<『憲法を二つ立てる』8話>>9話>10話>11話(終) 現状追認派は現状の居心地が良いからと信じ、必死で継続を訴える。 確かに現状が良いものであれば、その請願は麗しい真理の守護者であるようにも映る。 問題は現状の中身…

憲法を二つ立てる(7)~近視眼のデモクラシー

1話<2話<3話<4話<5話<6話<<『憲法を二つ立てる』7話>>8話>9話>10話>11話(終) 人間の状況認識がいかに近視眼であるかについて、先日あるテレビ番組に出た経済ジャーナリストが興味深い発言をしていた。 「20年、30年前にトランプの誕生を予測し…

憲法を二つ立てる(6)~愛着で片付けられない有害なノスタルジー

1話<2話<3話<4話<5話<<『憲法を二つ立てる』6話>>7話>8話>9話>10話>11話(終) 政体と国民で別々の憲法を立てる。 この企ては実は双方にたゆまざる緊張感をもたらす。 憲法を二つ設えることで、政体は国民を意識し、国民は政体を乗り越える使命を背負…