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憲法に対するそもそもの誤解(4)~核武装論であがいたっていい

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「北は核を完全に廃棄すべし、核廃棄の確約がなければ経済制裁は解除できない」

 

以上の論調が日本では趨勢を決める中、北の立場を考えれば苦労して一度持った核をそう簡単に手放すはずもない。

 

核を持てばこそ、北は存在感を高めたのだから、彼らは諸外国が向ける核への思惑を半永久的な手札とする。

 

だとすると、日本ができる北への現実的な対処では、①核保有を認めて付き合う、②こちらも核武装し互いに牽制する、③対話が進まないうちに北が核武装を確固たる段階へと引き上げるのを見過ごす、この3点くらいしかない。

しかし、①は日本人の純真な心が許さないし、②は原爆の被爆国としてあり得ない、となる。

じゃあ③でいいのかと問えば、多くの国民は「絶対に嫌だ、悪いのは北だ、国際社会はもっと北に圧力をかけるべきだ」と反駁するだろう。

国際社会の協調路線は、いわば選択肢④。

しかし、他力本願な対応では足並みが揃わなかった場合、結局、有効な手立てを打てないまま、結果的に③が実現されかねない。

 

時と場合をわきまえない正義感は始末が悪い。正義は言論の内容や行為に宿らせるだけでなく、時と場合にもまとわせるべきだ。


北朝鮮の核問題で、私だったら②の意見をお勧めしたい。

 

議論の結果、意見が退けられたとしても、議論しない選択肢はない。せめて声を上げる程度の圧力は存分にやるべきだろう。日本人がはったりをかまされたときほどの効果はないかもしれないが、今までのように簡単にはったりに引っ掛かるナイーブな国ではなくなったと示す外形にはなる。

もちろん本当に核武装を実現できれば、それが理想だ。


核武装の話が出たので少し触れておきたい。

 

今の日本は核を持つ中国、ロシア、北朝鮮の大陸側3国に睨みを利かされており、それだけで十分こちらも核武装する理由があるのだが、日本には米国の「核の傘」があるから自前の核武装は不要、もしくは慎重な議論が必要との声が依然大勢である。

 

ところが、核の傘などほとんど破れ傘なのだ。

 

核の傘とは、もし日本が核攻撃されたら米国がやり返してくれるというもの。他国は米国の報復を恐れ日本を核攻撃できないとされる。

しかしだ。

もし本当に米国が日本の復讐のため核攻撃をしたら、今度は米国本土がさらなる報復で核攻撃を受けかねず、米国は躊躇するとも考えられる。

駐日米軍が犠牲を被ったとしても、反撃は躊躇するだろう。いや、間違いなく躊躇する。

その場合、日本だけがやられ損で、世界は手打ちに出るはずだ。結局は核を持ってない国が標的にされ、生贄になりかねない。

核は自らの手に持ってこそ真の抑止力として機能するのだ。


このような核武装論を論じると、ほぼ必ず「核保有国が増えれば、テロリストにも核が広がりかねない」との反論が来る。

けれどこれは核保有国のセキュリティーとモラルの問題であろう。

それに先ほども述べたように、昨今の世界で日本ほど核保有の現実に迫られた国はない。

緊急性を抱えた国の核保有と、そうでない国の核保有を同列で扱ってもらいたくないではないか。


日本の主張に関わらず、世界の圧力に押され、核武装を断念せざるを得ない事態は当然想定し得る。むしろ、この国のこれまでの実績を振り返ればそっちの結末のほうが蓋然性が高い。

肝心はそうなったとき、核武装を盾にどこまであがけるかにある。

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OpenClipart-VectorsによるPixabayからの画像

外国人に強く言われたらしゅんとなるのが日本人のお決まりの逸話だが、そのパターンで終わらない外交をどこまでできるか。

その姿勢が他国の協力や妥協を引き寄せ、わずかでも抑止力を高める。

最新の核武装論はそこまで想定しなければ意味がない。

 

私なら、例えばこう考える。


「分かりました、核武装はいったん諦めましょう。しかし同盟国の米国には新たな条約締結を要求したい。もし日本が核攻撃されたら、米国は必ずやり返すと条約で約束して下さい。もし約束を破ったら、その時は必ずや世界最強の核武装国として日本を復興してみせる、これも条約に書き込んで下さい。また、約束の履行を担保するため、米国人1000万人を日本に移住させろ」、と。


日本では条約が国内法より上らしい。ちまちました憲法改正論議より、こっちのほうがよっぽど日本人の目を覚ますことができると思わないではない。


いずれにせよ、北朝鮮の核問題は自国の在り方を見つめ直すかっこうの政情であり、野心ある外交官には存分に血沸き肉躍ってもらいたいものだ。

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