NHK党は、党首自身のNHKに対する私怨、怨念が行動力の源泉になっている。
良いか悪いか、好きか嫌いかは別にして、最終目的が「NHKをぶっ壊す」という個別具体的なものであるため、そこへ至るまでの過程を周囲は想像し、挫折するかもという結末まで込みで、政治のストーリーに触れられる。
かなりやんちゃな、政党という看板がなければどうなんだ、といった彼らに親近感を覚える人がいたら、理由のいったんはそこだろう。
実際、議席を持つ政党にもなった。
しかし、日本大麻党の場合、最終目的が仮に、大麻合法化、だとしても、そこにNHK党のような情念にまみれた物語の発生は想像し難い。
例えば、警察を攻撃するのは無理がある。
警察はNHKのように受信料でほくほくとしている組織ではなく、法にのっとって動く執行官に過ぎないからだ。
NHKの受信料は誰もが支払った経験があるものであり、その不信感、がめつさに対するにも似た悪感情を抱く人は少なくない。
「金を払っても、力を入れて放送するのは年寄り向けの朝ドラ」
「ニュース番組にすら恣意性を感じる」
「災害報道は速いが、そこ以外の存在価値が見当たらない」
「給料高くない?」
・・・。
ゆえにNHK党の存在は、NHKを既得権益の巨悪とみれば、その巨悪を打つ些細でリアルな必要悪ともいえる。
日本大麻党はそれになれない。
大麻は、受信料支払書のように誰もが容易に手に持てる代物ではないから、NHKに対するような悪感情を味方にしづらい。
つまり、大麻が合法でないことの不便、恨み、怒りを一般にどう巻き起こすのか。
真っ先に肝心な点なのだが、深く考えられているようには思えない。