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確かかなと思った言葉を気ままに。あと、ヤフコメアーカイブ

【小説連載】アイガーリ(I got it !)~プロ球団の女スカウト~最終話、始まりの始まり

あらすじ

ドラフトの急きょ終了の説明を求め、周に詰め寄る夕子だったが、結果は覆せない。

大泉に会い、謝罪する夕子を大泉はある場所へ連れ出した。ひたすら投球練習を繰り返す竜を目の当たりにする夕子。

そこへ、夕子の娘で野球部マネージャーの妙が現れ、夕子を非難する。

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 5

ドラフト会議が終わっても、大泉家の明かりはまだ消えていない。その間、球団本社ビルの駐車場に、BMWが乱雑に停車した。険しい顔つきの夕子がエントランスを駆け抜けた。


周の背後でけたたましくドアが開く。それに比べ、振り返った彼の表情は涼しいものだ。

「どういうこと!」

「どういうこと?」

「すっとぼけないで!」

「まあ、ちょっと待ってって。・・・すべては球団としての戦略さ」

「その戦略が、どうして急に変わるの!」

「変わる? 効果はほぼ変わらないだろうと僕はみているけど」

「ふざけないで!」

「ふん。自分の思い通りにならないのが、そんなに気に入らないか? 人格を支える生い立ちは人それぞれだから、同情もするけどさあ」

夕子はかっとなり、近くの置き物を掴んだ。

   

「おお、どうした、やるのか?」

けれど、彼女は踏み出せない。

「すべてはビジネスなんだよ、夕子。僕は上司で、君は部下。どんなに君が優秀でもこの構図は絶対だ」

「私にとっての絶対は!」

「なに?」

夕子の体がわなわな震えた。無言で踵を返すことしかできない。せめて置き物を放り投げるので抵抗は精一杯だ。

この時、大泉家の明かりも消えた。


智はまだ帰宅せず、建設現場の事務所だった。

彼以外誰もいない、しーんとした空間。各従業員の机の上には、工事の図面や工程表、資器材の請求書、食べかけのポテチの袋などが置いてあり、日中は確かに人がいた形跡を思わせる。それなのに、今はとても寂しい。

自分のことではない。

まあしょうがない、と大人の諦めを諭すべきか、まだ可能性はある、と希望を込めて激励すべきか、判断に迷っている。

いや、親が何を言おうと息子の心は固まっているだろうから、ここでどう考えようと無意味ともいえる。

それでも、確かな言葉を贈れるのなら贈りたいと思うのが、彼が信ずるいい人間だった。

 

建設途中の大規模施設の模型を眺めた。その模型の広場部分に、人の形に見立てた自分の指を入れ、かたかた歩かせる。模型背後の壁には、工事着手前の土地を映した写真が掛けられ、そこには昔の広場が映されていた。ただ平坦な土が広がっただけの場所。写真には野球で遊ぶ当時の子供たちがいるが、誰が撮ったのだろうか。

どうせなら、自分が遊んでる時に撮ってくれればよかったのに・・・。

 

まさか、思い出の遊び場の開発を任されることになろうとは、この職に就いた時には思ってもみない。写真に写っていれば、名残惜しさを同僚に証明するチャンスを得られたのに、残念だ・・・。

そろそろ帰宅しようか。


外へ出ると、彼は何か(誰か)の気配に気付く。

貼り紙がある仮囲い前。そこには、力ない様子で夕子が立っていた。近付く智に、「ごめんなさい」と彼女から頭を下げた。

「色々な、事情があるんですよね」

「すいません・・・」

「一つだけ、教えてもらえませんか。あいつの、どこがいけなかったんでしょうか?」

夕子は頭を上げた。ここは相手の目を見て答えるのが、彼女の誠意である。

「いけないだなんて・・・私は、諦めてません」

「そうですか・・・良かった。あいつにも教えてやらないと」

「私は・・・」
「少しだけ、付いてきてもらってもいいですか。お見せしたいものがあるんです」

 

夜遅くでも高校のグラウンドは照明で明るかった。その光に当てられ、智と夕子の影が伸びた。

「やっぱりか。やってる」

夕子は言葉が出ない。

 

マウンドに投球練習をする竜がいて、もう名球投げたのか、辺りに無数のボールが散らばってる。汗のしぶきがこちらまで伝わってくるようだ。智は腕時計を確認した。

「あの様子だと、もう1時間以上はやってる」

「そんなに・・・」

「あいつの場合、野球が好きとか、プロ野球選手になるのが夢とか、そういうのじゃなくて、何というか、投げねばならないっていう使命感を勝手に背負ってるみたいなんです」

夕子の中で何かが力強くなった。

ほどなく、がさっ、と物音がした。

「お母さん・・・」

後ろにいたのは、買い物袋を持った妙だった。


あいにく夜空に星はない。殺風景なグラウンドのベンチに4人が腰掛けた。妙、竜、智、夕子の並びで、気まずい母と娘が離れる形となる。汗だくだった竜の体に、妙が買ってきてくれた清涼飲料水がごくごく浸みわたり、疲労を取っ払った。

智はお手玉のように手元で器用にボールを放る。

「高卒で即プロに入ったからって、すぐ活躍できるとは限らない。2年3年、それ以上掛かって結局、戦力外って選手も多い」

「分かってるよ。俺にできると思う?」

「それは自分次第さ」

「あーあ、学校のテキストにも書き加えるべきだよな。親ってのはどこもかしこも、自分にできなかったことを子供に期待する生き物だって」

「これは、期待とは少し違うものだ」

 

表面上、男2人は明るい。暗さをPRしたってどうしようもないから、そうなる。なのに女2人が暗いのは、どこか自然の摂理に反するようでもある。

「私は・・・私は今日まで、お母さんの娘であるのを恥ずかしいと思ったことはないわ。大人の事情だなんて言わせない。お母さんは夢を見せて、信じさせて、そして裏切ったの。私は、許せない」

妙は拳を固めた。夕子は口を開こうとして、やはり閉じてしまう。

 

「クールダウンするから、キャッチボール手伝えよ」

 竜が立ち上がった。

「お前、女のくせに結構上手だもんな」

「うるさい」

と妙も目元を拭って立つ。

「俺も手伝おうか?」

「いいよ。また肩壊されたら嫌だもん」

「おい、この右肩はな」

「何度も聞いた。まだ美少年でいらっしゃった頃、女の子をかばって痛めたんでしょ」

グラウンドへ向かう竜と妙の姿が、夕子に拳を握らせた。キャッチボールを見守り、「野球、やられてたんですね」

「やっていただけです。レベルはもう全然」

 

一方・・・。

 


サラは今独りぼっち。

夕子が飛び出してしまったので、他球団のドラフト結果を見届けてから、タクシーで追い掛けた彼女だったが、球団本社に着いた時には既にいなく、待ってても来やしない。

 

彼女は一人、地下駐車場の片隅で夜食のおでんを頬張った。夕子からこんな扱いを受けたのは初めてである。言葉遣いは悪いが冷静沈着だと思っていた夕子にも、そうでない一面があると知り、複雑な気分だ。

事前に決まったプラン通りに事が進まなかった不愉快さは分かるが、この世界ではないことではない。よほど虫の居所が悪かったのか、それとも、特にこだわる理由があるのか。まさか、娘の彼氏だから特別扱いしたかったわけではあるまい。そんな人でない点はパートナーとして自信がある。けれど、あの怒りよう。

本人に聞けるかなあ、教えてくれなさそう。食べ終わったし、もう帰ろっか・・・。


サラは駐車場からエレベーターで1階に上がった。すると、エントランスを出ていく川口万太郎の姿が先にあり、ぎょっとした。あの小さな体に、大きめのスーツは見間違えるはずはない。

・・・マウンテンズのあいつが、どうして? 

 

サラはある予感に駆られた。

後を付けよう。

そうしてしばらく歩き、飲食店が並ぶ繁華街に出てからだ。川口がジェットピクルスの備前島編成部長とおち合い、肩を叩いた。サラは離れたところから、とっさにスマホを向けた。2人は何やら話した後、川口が自分の鼻をつまんだのを合図に、人混みへ消えていく。サラはまたスマホを操作し、夕子に電話する。

「はい」

「夕子さん、今どこですか?」

「ちょっとね。ごめん、置き去りにしちゃってたわね」

「そんなことで謝るなんて、らしくないです」

「ごめん」

「気になることがあります。会って話せませんか?」

「いいけど、どこ行けばいい?」

 

翌朝。

備前島編成部長は、自宅のダイニングで思い詰めたように腰を掛けた。表は小鳥のさえずりも聞こえる快晴なのに、気分は晴れず、この年で最低の気分だ。妻から「あなた、郵便取ってきて」と催促され、ロボットみたく「ああ・・・」と答えてしまう。

玄関前の郵便受けを開けたら、いつもの新聞やチラシに紛れ、宛名も何もない一通の不審な封筒が目についた。開けてみると、便箋には「盗っ人」の文字があり、彼の意識がぐらついた。

動揺して辺りを見回す彼には心当たりがある。そんな姿を、車中のサラがじっと観察した。


サラの報告を受け、夕子は再び球団本社に赴いた。準備は万端。またあのドアを勢いよく開け、対決に臨んでやる。周はコーヒを飲むところだった。

「またアポなし。君にはマナーってものを覚えてもらいたいな」

「お金は、もう支払われたのかしら?」

「このコーヒーは自腹で買ったんだ」

「球団のため、ファンのため、球界のため。ひいては世界に野球を広めるため、人材の発掘・獲得で貢献するのが私の仕事だと思ってる。あなたは、その球団の誇りを売り払った」

「君には本当にそそられるな。あれだろ。もう悔しくて、やり返したくてしょうがないんだろ。頭の中で都合のいいフェイクをつくって、それを垂れ流さないと自分を保てないんだ」

「あいつもいたのね、ここに」

「どうかしてる」

「インテリの実業家さんも色々だろうけど、駄目な奴の見分け方なら知ってるわ。顔が青白くて、馬鹿っぽいの」

「いい加減にしろ! そこの置き物で暴行に及ぼうとした次は、いかれた侮辱と脅迫か? 君の処遇もいよいよ真剣に考えないといけないようだ」

 

夕子は前に出てスマホをかざした。川口と備前島編成部長が会っている動画を流し、ある場面の再生を何度か繰り返した。

「左の男が、鼻を触っているでしょう」

「だから?」

「鈍い奴。じゃあ右の男性はどう? 分かるでしょう? ピクルスの編成部長。どうやら小心者のようね。ドラフトで髪を掻きむしっていたのもそのため。悪事に心が耐えられないことに、後になって何倍もの後悔とともに気が付くタイプだわ。そんなだから、楽になりたくてボロも出る。私と富岡がマウンテンズから移ったのを知らない人って、まだ結構いるのよ。ビンゴだった」

周は動画を凝視した。

 

「もう一度聞くわ。こいつが鼻を触る意味、本当に分からない?」

「だから・・・サイン?」

「駄目な奴だけど、馬鹿ではない。そこが結局救えない」

「マウンテンズのサインか? どんな意味がある?」

「こいつがマウンテンズの人間ってことは知っているのね」

「くだらん! 誘導尋問のつもりだろうが、誘導されるような後ろめたいものは何もないんだ。ピクルスの編成部長? そいつがお前に何を話したか知らないが、所詮、与太話。いや、そもそもそれすらはったりなんじゃないのか? これ以上、僕の時間を無駄にしないでくれ」

「やっぱり救えない。どうしてわざわざ、ここへ来たと思うの?」

夕子のスマホから今度は音声が流れた。備前島編成部長とサラの声である。

 

――受けちゃ駄目だという自覚はあったんです。でも金額が・・・フライハイヤーズや、他の球団も受けたって話を聞かなければ――

――分かります。まだ遅くないですよ――

ここで音声を止めた。

 

「うちの名前が真っ先に出ちゃったのは偶然だから」

「何のことだか、分かりゃしない」

「全部聞きたかったら、コピーをあげるわ」

「誰が話してるのか!」

「動画もあるのよ。どっちも隠し撮りだけど」

周はコーヒーを飲み干した。

 

「・・・お前は、何がしたいんだ。ええ? たかが育成のガキ一人にこだわって、何なんだよ! 野球が好き? 野球を世界に広めたい? 違うね、お前はまったく別の理由で動いてるだろ! 何なんだ! お前は一体何を証明したい? ええっ!」

 

スマホの音量が上がった

「どうする?」

 

午後になり、周と取り巻き数人が謝罪のため、大泉家を訪れた。許しをもらって去る周は、神妙な面持ちである。それを運転席の夕子と助手席のサラが見届ける。

「ドラフト漏れは、手違いでしたとさ」

「気休めに過ぎないけど。私なんかが謝るより、きっと効果はある」

「マウンテンズが3連覇を狙おうと、いくつも談合を持ちかけた。フライハイヤーズは、マウンテンズをFAになる越谷選手の獲得に動かない。それが条件だった」

「あいつは認めていないけど」

「けど、竜君をドラフトから外させたのは川口のスタンドプレーだったんですよね。何で?」

「個人的な嫌がらせよ。あいつから私のお気に入りとでも聞いたんでしょ。それがあだになったわね、あのトンマ」

噂をすれば何とやら。この時、川口はくしゃみをしたという。

 

夕子のBMWが、ぶももっと走り出す。玄関で周たちを見送った智の耳に、聞き覚えのあるエンジン音が届き、彼が夕子を思い浮かべたことを彼女は知らない。しかし、彼もまた、彼女がかつての知り合いだったのを知らない。もう何十年も前だ。風の噂では、その少女は親の都合で引っ越して、それっきりだった。まあ、それでもいずれ思い出すだろう。いや、もう思い出しかけてるやもしれない。

車中のサラは、まだちょっと不満だ。

「本当に公表しないんですか?」

「しないわ」

「あのサインの意味は何だったんです?」

「サイン? ああ、あれはね、無意味」

「ええ? はったりってこと? てっきり盗塁か何かのサインと思ってましたよ」

「何だかんだで私も悪人よね。けど、まだもし善人がいたら……」

 

さて、自宅の居間で川口は呑気にリラックスを満喫し、テレビをつけた。あの女を出し抜いてやった、とすっかりご満悦だ。夕子のおかげでナンバー2に甘んじてきた。けれど今や、自分はマウンテンズのトップに登りつめ、ハイヤーズに移ったあいつは凋落する。そう思えば思うほど、彼は愉快でたまらない。ただ、人生は複雑だった。

「こ、これは!」

テレビの画面に「ジェットピクルス編成部長、緊急記者会見」のテロップが流れたことで、彼の栄光への階段は脆くも崩れ落ちるのだ。

 

こうして・・・。


河川敷にある野球場に、朝から人が集まった。

ベンチのサラは、スマホで「マウンテンズ、買えると思った3連覇」「ハイヤーズGM雲隠れ」などの記事を読む。少しして、あのカメラ小僧と太った女もやってきた。

「こんなとこに、あの板倉がホントに来るのか?」

「確かですよ。本人がSNSに上げてんですから」

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グラウンドでは野球のユニホーム姿やジャージ姿の人たちが柔軟体操で体を温め、その中に夕子、智、竜、妙、一輝もいる。妙はにたにたし、

「お母さん。ホントにできるの?」

「馬鹿ね。あんたより全然うまいんだから」

「一輝、キャッチボールしよう」

「うん」

「そうだ竜。1年余裕できたんだからさ、来年は育成枠なんて言ってたら駄目っしょ」

「うるさいな」

竜たちがその場を離れ、智と夕子は2人きりになった。

 

「桐生さん、今日はありがとうございます」

「そんな。こちらこそ戦力になるかどうか」

大泉はさらに深々と頭を下げた。夕子も応じて、2人の思いが共通する。

「私、実は野球にずっと復讐してるんです。けど、いいこともあったから、嫌いになれずにいる」

「どうだろう。自分は、これからもっと野球を好きになれそうです」

と、そこへ、「こんにちは」恵美が駆け寄った。夕子以上に智に近付き、「ご飯作ってきました」と愛想をふりまく。夕子は面白くない。自分もお弁当くらい作ってくればよかった、と考えてしまった。そういえば別れた前の旦那にも、家庭的な配慮が足りない、なんて捨て科白を吐かれたっけ。

やっぱりそういうものかしらね・・・。

男女平等とは、機械的に家事を分担すればよいというわけでなく、互いの役割への配慮を必要とするものだ。あの男の場合、そんな意味で捨て科白を吐いてったのではなかったろうが、考えさせられるきっかけにはなった。

・・・次よ、次はしっかりやるわ。

そんな夕子を見ていたサラ、「あら、嫉妬」と気持ちを代弁した。

 

アップも終わり、プレイボール。

 

竜たちのチームは後攻だ。守備位置はセンターに智、ライトに夕子、ファーストに一輝、マウンドに竜がつく。1、2番のバッターをあっさり三振に獲ると、フライハイヤーズのドラフト1位、板倉の登場だ。

カメラ小僧は被写体を捉え、「ホントに来たよ!」

太った女も「写せ、写せ!」と幸せそう。

センターの智が腰を落とし、打球に備えた。初球、竜はアンダースローから直球を投げ、板倉は空振りする。ベンチの声援はプロの試合に勝るとも劣らない勢いだ。2球目の変化球はファールになり、ベンチからため息が出る。板倉はミスショットを悔やみ、バットでヘルメットを叩いた。

「さあ、いつでも来なさい」とライトの夕子。

 

竜の3球目。板倉が高い打球を上げ、内野陣が一斉に外野を向いた。ベンチの妙とサラも真剣に打球の行方を目で追った。

「ライトー、お母さーん!」

「やだ、獲られちゃう! いや、獲って夕子さん!」

「いいや、あれは落ちる、落ちるぞ。おい、滑り込むとこしっかり撮れよっ!」

「あーあー」

カメラ小僧はファインダーをのぞき続けた。打球の落下点めがけ、夕子と智は懸命に走った。2人とも運動不足の中年である。あまり頑張ると、こけたり、筋を怪我したりしてもおかしくない。それでも、もともと野球少年、野球少女だった2人のやる気は、一度火がついたらそうそう消えやしない。野球好きの魂は同じ。違ったのは、掛け声だけだった。

「オーライ、オーライ!」

とオーソドックスな智に対し、

「アイ、ガーリィ(I got it)! アイ、ガーリィ(I got it)!」

夕子はハイカラだ。

 

ベンチの全員が「あっ!」と叫んだ。

 

同時に、カシャッとカメラのシャッター音。

打球は落ち、カメラ小僧は2塁に滑り込む板倉を見事捉えた。その背景には夕子と智。

2人は激しい衝突だけはどうにか避けた。けれど、後で写真をよく見たら、2人の体は一部ぶつかり、唇が重なり合ったようにも見えたという。

しばらく竜と妙にからかわれたのは、いうまでもない。

 

終(始まりの始まり)