シベリアン
二 手紙 三が日が過ぎ、麻美たち家族と一平は、それぞれの自宅へ帰っていった。春香と洸助はどうしてもまだお祖父ちゃんとお祖母ちゃんちにいたいとごねるので、陽子は二人と共に数日残ることに。 春香が遅めの朝食を食べ、外へ出た。 庭に残った雪をいじり…
「兄さん、この二人どうしたの?」「どうも最近な。俺も困っているんだが、そういう時期なんだろう。お前は少し年が離れているから分からないかもしれないが、俺と有次の奴も小さい頃は、寄ると触ると喧嘩ばかりしていたもんだ。それを姉さんがよく面倒臭そ…
シベリアン 一 帰国 効きの悪い暖房に頼るしかない一室で、藤原時高は酔っていた。酔った方が、縦横無尽に思考が巡る気がしてしばらくそうしているのだが、肝心の答えは、考える前から決まっていたとの思いを改めて確認しただけで時間が過ぎる。 天気予報に…