次回はついに決勝かあ。
みんな、いい面構えになってきた。
物語を通じ、役者たちの成長を目の当たりにしてる気がして、ワクワクする。
牙狼『VERSUS ROAD(VR)』10話、『ENCOUNT』
「戦え。信じれば誰だってヒーローになれる」(南雲太輔)
「あんたが死んだら何が残る」(香月貴音)
「いいから飲め。あいつが残した酒だ」(天羽涼介)
「腹をくくってないのは、俺だけだった」(空遠世那)
名言・箴言の類が散りばめられた展開。劇中のセリフは、そのメッセージ性が実直であればあるほど、演者の力量が試されます。
そうした中、上記のセリフは、いずれも違和感なくこっちの耳に届いた。
牙狼シリーズを観て毎回思うのが、終盤の「厚み」のすごさ。
脚本の妙味もさることながら、役者たちの成長がハンパない。序盤と終盤じゃ、顔付きがまるで違うなんてことはざらだ。
心技体が揃ったドラマには、自然と魅入られてしまいます。
その文化は、VRでもしっかり踏襲されていると思う。
ゲーム参加者がこれまで戦ってきた理由。
ある者は「真実を知る」、別の者は「負けたくない」、また別の者は「望むものを手に入れる」・・・。
敗れれば死ぬ以上、自分本位にならざるを得ない状況にあって、空遠が出した答えは、
「ゲームを止める」
いいと思う。
・・・誰かを倒すためじゃなく、何かを守るための戦いでこそ、彼は力を振り絞れる。甘ちゃんだと罵られようと、甘ちゃんは甘ちゃんを貫き通すことでしか生きていけない。その先に待つのが絶対の死だとしても、堕落して生き延びるくらいなら死を選ぶ・・・。
なーんて、悲壮な決意を空遠が抱いた訳じゃないだろうけど、目指したいものは伝わった。「ゲームを止める」。静かだが固い信念がにじみ出たいいセリフだった。
それに比べ、葉霧宵刹は完全にこじらせてる。
「共に完璧な世界をつくろう」
世の中をゴミ扱いする気持ちは分かるし、大いに共感もする。
「新世界の神となる」(夜神月風)なんて、大それたセリフも言えるものなら言ってみたい。
けど、行動するなら一人でやるべきだ。他人を巻き込むのは淋しがり屋の悪い
癖な気がして、そそらないのです。
葉霧に足らないのは、観念と現実のバランス感覚。
挫折したエリートが観念過剰の趣を帯びてしまうのに近い。
10話でまさかのご登場なった、中年・五五は「あの少女(アザミ)のせいだ」と言っていましたが、つけ込まれる側にも要因はある。
その辺の脆さがあるために牙狼に選ばれなかったとしたら、納得します。
葉霧宵刹。哀れな過去を知ってるだけに嫌いにはなれないけど、憧れはしない大人かなあ。
まさかのご登場で、ホラー映画『呪怨』ばりの最後を遂げた五五には、合掌。
重要な用語の意味がギリギリまで明かされず、視聴者を焦らしてくるのが牙狼シリーズのいけずなところでもあります。
「もうじきベイルが完成する」(葉霧)
ベイル・・・。
確かにそう言ったように聞こえた。
別の回で、アザミも同じ言葉を口にしていたかな。
ダークメタルでつくる「牙狼を凌ぐ鎧」のことを指すのでしょうか。
だとしたら、既に名前がある点が気になる。
次が観たい。しかし、あと2話で終わりかと思ったら、次が来てほしくない気分にもなる。
この牙狼の「焦らし」にはまると、私のようになります。