片山英一’s blog

確かかなと思った言葉を気ままに。

牙狼『VERSUS ROAD(VR)』7話で抜く~得たくても得られない、戦友への憧れ 哀空吏はどこへ行ったのか

なぜだろう、羨ましい・・・。

 

空遠、南雲、天羽、奏風の4人が集まったシーンに、天羽が空遠に吠えた瞬間。

 

同じ死線をくぐった者同士にしか分からない境地は、絶対にある。利害が衝突し、敵対する関係であっても相手の心を察して共感する(してしまう)境遇は、誰にでもおとずれるものではない稀有な体験だ。

 

相手の命の重さが自分のと同等か、時にそれ以上にも思えるのは、そいつに、恐怖や臆病から逃げず、死の圧力と戦う知恵と勇気があるのを知っているから。

この共感覚は、能書きのヒューマニズムとは明確に異なる。

 

いわば、芸術への驚嘆。

 

 人が、奇麗な月や花を自然と愛でてしまうように、恐怖に屈しない、揺らいでも折れない、折れてもただでは折れない、そうした心は純粋に奇麗であり、その種は戦場でよく花を咲かせる。

 

死が目前に迫った中でさらけ出された本性が、本当に美しいかどうか。戦友とは、そんな精神のアーティストらを称える尊敬語なのだ。

 

『VERSUS ROAD(VR)』7話、『FRIEND』

 

脚本家が以上のように考え、このタイトルを決めたのなら脱帽するしかないでしょう。

 第7話、タイトルに相応しい内容だったと思う。

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「お前は何を守る、俺は、俺の誇りを守る」(天羽涼介、アモウリョウスケ)

 

このセリフには、非常に響くものがありました。

 

訳も分からぬままゲームの世界(もしかして魔界、という説も)に呼び込まれ、掌で踊らされていること自体、彼にはとうに屈辱。だとしても、いや、だとしたら、思い通り存分に暴れて、後悔させてやる――。

 

物語も後半に入り、今まで何気なく眺めていたキャラ設定の緻密さが分かってきました。

 

確か、サイボーグ・ホラーに1対1で立ち向かったのが、天羽でした。現実世界の生業は、(恐らく)バーの個人経営。

 一身独立の意識が強いと思われる天羽は、実は参加者の中で一番、ゲームの駒にされてしまったのが悔しくてしょうがないのかもしれません。だから、これ以上屈しないためにも、戦い続けるしかない。

 

誇りを守る・・・このセリフは、空遠への檄であったというより、彼自身の決意と無念が混じりあった苦悶の叫びだったように感じました。

 

これに対し、空遠は今後どうするのか。

 

思うに、空遠にとって大切なもの、本当に守りたいと願うものとは、過去から現在までの足跡の連なりと、そこに関わる数々の思い。

その一部(星合)を守れなかった空遠が、これ以上ゲームに注ぐ気力を持てなかったとしてもおかしくありません。

 

彼が再び奮い立つためには、「守る」ものを新たに見出す必要があるでしょう。

 

その対象が「自分の命」だと、彼には弱い。

 

答えのヒントは、天羽が指摘してくれたように感じる。

 

「星合の思いを守れ」

 

自分を助けるため犠牲になった星合の思いを知れば、ゲームを生き残るのが思いを継ぐことにもなりそうです。

しかし、ことはそう簡単に済まないとも思う。

 

これまで主に守る側だった人間が、誰かに守られ生かされた場合、理想と無力の落差で苦しむことになります。

生きる支えを失った、と言い切ってもいい。

 

これを乗り越える方法は・・・たぶん、ない。

 

あくまで個人的見解にすぎませんが、生きる意味は、顔のシミや皺のように、そういくつもいつくも見つかるものじゃない。一つ見つかれば、まさに唯一無二。空遠はそれに気付いた瞬間、それを失ったのだから、自分だったら立ち直れるとは思えません。

 

喪失をやり過ごす一つの方法としては、足を引きずりながら、死んだ気分と胸糞悪さを抱えながら、一日が過ぎるのを今か今かと待って生きる(死に向かう)、という手段がある。

まさに自分がその途上なのですが、まだやり切っていないので結果は保証できません。他に手段があれば、そっと教えてほしいくらい。

 

空遠が私流の結論に至るとは思ってません。そもそも、物語が成立しないので。

展開のテンプレート的には、とにかく理由を付けて奮い立ってしまうか、堕ちるかでしょうが、想像を超える第3のプロトコルがあるでしょうか。

 

気になるのは、

「ガロはいない」の意味。

 

あのデジタル牙狼の鎧は本物じゃないのか。

それとも、牙狼であって牙狼でないという示唆か。

以前、牙狼の闇堕ちについて少し考察しましたが、そっちの可能性もまだあるでしょうか。

 

牙狼がいない世界というと、TVシリーズ『闇を照らす者』を思い出しますね。

正確を期せば、輝きを一度失った牙狼が黄金を取り戻すための物語が闇照。

(放送終了後、天弓騎士・牙射〈ガイ〉、楠神哀空吏〈クスガミ・アグリ〉が闇に堕ちる・・・)

黄金でなくなった理由は「大きな敵を倒すために、輝きを放ったから」と簡単に一言触れられただけで、詳細は不明でした。

 

まさか、VRと闇照のリンクはないだろうけど、想像が膨らみ、それが楽しい。

長くシリーズが続いてきた作品の強みとは、こうした妄想の種が至るところにまかれている点にあると思います。

 

牙狼チームには、これからも妄想を刺激してもらいたい。

 

そして・・・。

 個人的にお気に入りの香月貴音(コウヅキタカネ)。

 

もはや君はただのゲスじゃない。

悪を飼い慣らし、行けるとこまで行ってひ弱なタレントどもの星となればいいでしょう。

 

星、といえば、

VRの主要人物たちは全員、「空」に関わる言葉が名前に入りますね。これも、先を読み解く上でのヒントになるのでしょうか。

 

VR、折り返しの初回は上々。次の8話、要チェックや(彦星、じゃなくて彦一風)。

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